さて、これから「とき」について学んでいきましょう。
具体的な現在・過去を表す方法を学ぶ前に、まずは、言葉の表現する時間につ
いてお話しましょう。
英語の過去形を学んだときに「現在より前の時点は過去形で表せばよい」と言
われましたよね。でも、言葉はそんな機械的な代物ではありません。
I was quietly reading the paper in the cafe when suddenly this guy comes
over, snatches the paper out of my hands, and starts screaming me.
(カフェで新聞読んでたら男が近づいてくるんだよ。手から新聞をひったくって、
僕に向かって叫びはじめやがるんだよ)
この文、過去形のwasで始まっているのに途中からcomes, snatches, startsと
現在形になっていますね。このように「過去の時点=過去形」が絶対でないこ
とがわかりますよね。もうひとつ例文を見てみましょうか。
Listen. It's the offer of a lifetime. You'll be glad you bought it.
([セールスマンが]いいですか。こんなオファーはもう2度とありません。買
ってよかったとお思いになるはずですよ)
You'll be glad you bought it.まだ実際に買ったわけではありません。買うの
はこれから。現時点から考えれば未来の出来事について過去形が使われています。
さて、この二つの例文から「過去の時点=過去形」では、日常会話すらつまずい
てしまいますよね。では、何が「とき」を決めているのでしょうか。もちろん言
うまでもなく、それは私たちの感じ方です。私たちがある出来事をどう眺めるか。
その眺め方に「とき」は対応しているのです。
ここで「とき」の眺め方でもっとも大切な原則を一つ、ご紹介します。
【時は距離】人間は「とき」を自分からの距離としてとらえています。
少し意外な話かもしれませんが、英語や日本語ではほぼ無意識に時間は「距離」
として感じられています。「遠い過去(remote past)」「近い将来(near future)」
などの言い回しからも、言葉の上では時間と距離が等列に扱われていることがわ
かりますね。
参考文献
大西泰斗、ポール・マクベイ著 研究社刊
「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」
