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さて、これから「とき」について学んでいきましょう。
具体的な現在・過去を表す方法を学ぶ前に、まずは、言葉の表現する時間につ
いてお話しましょう。

英語の過去形を学んだときに「現在より前の時点は過去形で表せばよい」と言
われましたよね。でも、言葉はそんな機械的な代物ではありません。

I was quietly reading the paper in the cafe when suddenly this guy comes
over, snatches the paper out of my hands, and starts screaming me.
(カフェで新聞読んでたら男が近づいてくるんだよ。手から新聞をひったくって、
僕に向かって叫びはじめやがるんだよ)

この文、過去形のwasで始まっているのに途中からcomes, snatches, startsと
現在形になっていますね。このように「過去の時点=過去形」が絶対でないこ
とがわかりますよね。もうひとつ例文を見てみましょうか。

Listen. It's the offer of a lifetime. You'll be glad you bought it.
([セールスマンが]いいですか。こんなオファーはもう2度とありません。買
ってよかったとお思いになるはずですよ)

You'll be glad you bought it.まだ実際に買ったわけではありません。買うの
はこれから。現時点から考えれば未来の出来事について過去形が使われています。

さて、この二つの例文から「過去の時点=過去形」では、日常会話すらつまずい
てしまいますよね。では、何が「とき」を決めているのでしょうか。もちろん言
うまでもなく、それは私たちの感じ方です。私たちがある出来事をどう眺めるか。
その眺め方に「とき」は対応しているのです。

ここで「とき」の眺め方でもっとも大切な原則を一つ、ご紹介します。

【時は距離】人間は「とき」を自分からの距離としてとらえています。

少し意外な話かもしれませんが、英語や日本語ではほぼ無意識に時間は「距離」
として感じられています。「遠い過去(remote past)」「近い将来(near future)」
などの言い回しからも、言葉の上では時間と距離が等列に扱われていることがわ
かりますね。

参考文献
大西泰斗、ポール・マクベイ著 研究社刊
「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」

Sharks and People: Guess Which One Is in More Danger From the Other

こちらを読んで聴いてから以下の「大雑把な意味」を読んでください。
あなたの英語力をつけるためにも、まず挑戦してください。
http://www.1toshiaki.net/recommend/20070108voa2.html

●大雑把な意味(私が訳したものです。鵜呑みにしないであくまで参考にしてください)
 カナダ人のGruenさんがハワイのマウイ島で泳いでいるときに、鮫に手足をかまれて病院へ運ばれた。などなど、鮫に遭遇して助かった人も助からなかった人もいる。
 このように人々の鮫に対するイメージは、最悪である。とはいえ、鮫は地球の水や人間にとって役に立つことをしている。しかし、鮫は絶滅の危機に瀕している。
 鮫に対する悪いイメージは映画”ジョーズ”の影響が大きい。
 人が鮫に襲われた記録の最古は16世紀である。
 鮫にはいろいろな種類がある。20m(the whale shark)を超えるもの、20cm(the dogfish shark)のものなどさまざまである。鮫には骨がない。軟骨があるだけである。人間の鼻や耳と同じである。
 鮫はおいしい。皮膚は動物の皮の代わりになる。牙はコレクターたちが高値で買う。そして、ヒレはふかひれになる。そうやって、鮫は乱獲されその数を減らしている。

最後に質問、Guess which one is in more danger from the other?

●音声はゆっくりなので、聞き取りやすいです。慣れないうちはスクリプトを見ながら聴いてみてください。時間は約15分。聴く回数はあなたのお好みで。毎日集中して聴いていると何を言っているのかわかってきます。

穴埋め修飾

「欠けている⇔補う」が作る強固な修飾関係。英語ではwh語が主にこの修飾を作ります。

This is the dog which my father loves.

the dogとmy father lovesの関係に注目すると、my father lovesは何がすきなのかが「欠けた」文。そこをthe dogが埋める、という修飾関係が成り立っています。
 しかしながら、この文には、日本語にはない要素whichがあります。いったいどのような働きをしているのでしょうか。

・wh語は「つなぎ」
wh語についてはwh疑問文でくわしくやりましたね(11月3日発行分)。「欠けている情報を指定する」、それがwh語の役割です。

Who do you like □?
(whoは「人」が欠けていると指定)

この役割はwh修飾でもまったく同じです。

The dog which my father loves □

whichは後続文に「ものが欠けている」と指定しています。このことは同時に後続文と組み合わされるのは「もの」つまり「犬」だということを示していることになります。whichがうまく「つなぎ」の役目を果たしていますよね。

さて、wh語の役割がわかったところでネイティブの意識を見ていきましょう。
This is the dog which my father loves.という文を見たとき、

This is the dog which
whichが出てきたこの時点でネイティブはthe dogを「つかみ」ます。これからthe dogが後続する文と組み合わされることを理解し頭の中に「とっておきます」。

my father loves
the dogを組み合わせるために情報が欠けている場所を探します。欠けている場所にthe dogが入り込むからです。結果、「私の父が好きな」と「犬」がつながって、「私の父が好きな犬」となります。

この呼吸を身につけるとさらに英文を読みやすくなります。


参考文献
大西泰斗、ポール・マクベイ著 研究社刊
「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」

with

【並べると説明】という単純なメカニズムがいかに英語の修飾を豊かにしているか、すでに十分理解できましたね。それでは、仕上げです。次の文がすぐに理解できますか?

She looked at me with a huge grin on her face.
(彼女は、にまーっと笑いながら私を見た)
We sat by the pool with the sun beaming down on us.
(太陽の光が降り注ぐ中プールの脇に座っていた)
The cheeky kid walked up to the teacher with his hands in his pockets.
(生意気な子供が手をポケットに突っ込みながら教師に向かっていった)

with以下の意味はわかりますよね。

a huge grin
the sun
his hands

これまでにやってきた【並べると説明】ですよ。後ろの語句が前の単語を説明しています。そして、withの意味は「いっしょ」。2つの出来事が「いっしょ」に起こっている、ただそれだけですよ。
ん?ただ並べてるだけって?そうですよ、ただ並べてるだけ。だから、withがなくっても意味は変わりませんよ。

She cried, her hands covering her face.
(顔を両手で覆って泣いた)

【並べると説明】、この強力な原則をいつも意識しながら英語に触れていってくださいね。


参考文献
大西泰斗、ポール・マクベイ著 研究社刊
「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」

同格

名詞を説明修飾するのは今まで取り上げたような、前置詞、副詞、-ingだけではありません。名詞や文も並べることによって修飾できるんですよ。【並べると説明】という原則のおかげです。

・名詞と名詞
Tony Blair, the British Prime Minister, met with Condoleezza Rice, the American Secretary of State, at 10 Downing Street.
(英国のブレア首相は米国務長官ライス氏と首相官邸で面会した)
Joe Black, 29, the father of the 3 children, was charged today with their murder.
(ジョー・ブラック29歳は3人の子供を持つ父親であり、その子達を殺した罪で告訴された)

こうした文章は新聞などの記事で頻繁に目にするものです。事実関係や登場人物の説明をするものだから当然ですよね。

・名詞と文
Have you heard the rumor that Chris has resigned?
(クリスがやめたって噂聞いた?)
The fact that I am broke has helped me drink less!
(お金がないおかげであまり呑まなくなったよ)
He reached the conclusion that the car wasn't worth repairing.
(その車は直す価値がないという結論に達した)

the rumor, the factなど文を並べるだけで、どういった噂(事実)かを文で説明することができます。thatはなくてもちゃんと成り立ちますよ。thatの役割は、聞き手の注意を促して、滑らかに・丁寧に文をつなげることです。


参考文献
大西泰斗、ポール・マクベイ著 研究社刊
「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」

さまざまな限定詞

・the:1つに決まる
theをつけるということは「1つに決まる」ことです。いろいろな場合がありますので、それぞれをさらっとみていきましょう。

「文脈から1つに決まる場合」
I saw a gorgeous woman in the supermarket yesterday, and today I saw the woman again.

前の文でa gorgeous womanが登場しましたね。次の文でthe womanといえば「前の文に出てきた人のことだな」とピン!ときますね。

「常識から1つに決まる場合」
The moon revolves round the earth.

常識から月や地球は一つに決まっていますよね。
というように、意味を考えて具体的な一つのものが浮かぶときにtheをつけるのですよ。

・a(n):1つに決まらない
a(n)はtheと対照的な表現です。「1つに決まらない」場合に使います。

He is an eye-doctor.

眼科医は彼以外にもたくさんいますよね。つまり「1つに決まらない」んです。

aとtheを比べてみましょう。

Yours is not the solution, just a solution.
(唯一の解決策じゃない、他にもあるうちの1つだよ)

・some:ぼんやりと存在がわかる
someは「いくつかの」という意味ではありません。someone,somebody(誰か)、some time(いつか)、somewhere(どこか)というようにぼんやりとしたイメージです。

日本語の「いくつかの」に最も近いのはseveral。くっきりと認識された複数のものを表します。

A:I know some great pubs in London.
B:I know several great pubs in London.

Bさんはいくつかの具体例を思い浮かべながら話していて、Aさんはぼんやりと知ってる感じで話しています。くっついていくならBさんがいいですね。

・no:ない
noのイメージは「黒塗り」

a. They took no prisoners.
b. No express trains stop at this station.

aは「ない囚人」が受け入れられた、ということ。日本語だと「どんな囚人も受け入れなかった」となりますね。しかし、ネイティブはそのまま理解しています。「囚人」が塗りつぶされたような意識として理解しているのです。この感触に慣れてくださいね。


参考文献
大西泰斗、ポール・マクベイ著 研究社刊
「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」

限定詞1

限定詞はpen,girl,waterなど名詞の前に置かれ、その意味を限定します。「前から限定」のひとつだ、と言ってしまえばそれだけのことです。しかしながら、その「限定」の仕方が非常に繊細なのです。その繊細さを味わっていただくために、まずは限定詞が使われないケースを取り上げてみましょう。

Water freezes at 0℃.
I need water.

この二つの日本語訳を見て、具体的な「水」が頭に浮かびましたか?「六甲の天然水」とかが浮かんできましたか?おそらくそうではないはず。ちょうどその漠然とした感触がこのwaterにはあります。

この感触が大体つかめたところで、限定詞のあるとき、ないときを比較してみましょう。

Dogs bark.(犬はほえる)
The dog is barking.(犬がほえている)

とらえどころのない(それゆえに種族一般をあらわす)dogsがthe dogとなると、目の前にいる犬という具体性を与えられていますね。

I need water.(水が必要です)
Give me some water.(水をくれ)

「油じゃなくて水」を単に示したwaterにsomeがつくと、ある分量をもった(たとえばコップに入った)具体的な水が意識されるようになります。次も同じペアです。

Babies need milk.(赤ん坊にはミルクが必要です)
Give the baby some milk.(その子にミルクをやれ)

限定詞は漠然とした名詞を限定し、ある具体的なイメージを「生み出す」働きを持っているのです。

参考文献
大西泰斗、ポール・マクベイ著 研究社刊
「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」

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